個人診療所の親族内承継時の留意点 個人診療所の親族内承継時の留意点

個人診療所の親族内承継時の留意点

細かな留意点

診療所の土地・建物の取り扱い

親名義の土地、建物は、承継者である子に貸しつけるか、譲渡、贈与により子の名義に変えることもできます。
●譲渡
親に譲渡所得課税が発生し、子は建物の減価償却費を必要経費にできます。
●賃貸
親と生計が別であるときは、親(貸主)に賃貸料収入が発生し、子(借主)の賃貸料は必要経費となります。
●贈与
子に贈与税がかかる場合があります。

医療機器等の取り扱い

医療機器を引き続き子に使用させる場合には、土地・建物と同様に譲渡・賃貸・贈与の方法があります。賃貸の場合には、親と生計が一であるか否かによって、賃貸料の支払いがあっても、その取り扱いが異なります。

たな卸資産や未収金

親の開設していた診療所のたな卸資産や未収金は、親の所有財産や債権です。そのため売却や贈与によって、子に承継することができます。

借入金の引き継ぎ

債権者の同意を得れば引き継ぐことが可能です。この場合、借入金の利息は事業所得の必要経費に算入することができます。

院長への退職金

勇退する院長に退職金は支給できませんが、承継後(院長交代後も)診療を続ける場合には、一定の要件のもと、子である院長から給与を受け取ることができます。

手続き

①保険医療機関の指定申請書
→各厚生局(都道府県)
②診療所開設届 他
→保健所(都道府県)
③社会保険関係の新規適用届
→年金事務所(都道府県)
④個人事業開業届
→税務署
⑤所得税の青色申告承認申請書等
→税務署
⑥消費税の簡易課税選択届出書
→税務署
⑦その他、診療報酬の医療機関指定申請書等
→各厚生局 他(都道府県)

※旧診療所の廃止手続きも必要です。
※限られた時間で複雑な事務処理を行わなければなりません。
※とくに、相続の場合は突然発生する可能性があり混乱することがあります。

第三者への譲渡

売却価格によって譲渡損益が生じます。